※この記事は2013年頃に公開していた記事です。
目線とアイデア
人の目に見えているものは、みんな同じもののように思えてまったく違います。
これは視力の問題ではなく、目に入る情報をどのように処理しているかで違ってくることからきています。
目に入った情報は、脳の中でこれまで見た似たようなものとの照合作業が行われて、初めて「見えた」と判断されています。
薄暗い道で、ふわっと動いたポリ袋が、猫に見えた、なんてことはありませんか?
これは、目に入ったものを、以前の情報と照合しているからです。
目は、見たものを常に客観的に判断しているわけではないのです。
目で見たものは、脳の中で、瞬時に再検討のような作業が行われています。
照合作業をした後ではすでにその情報が脳に入っているので、初めに見たようには見えてこないのです。
客観的な目線などなかなかありません。
人は自分の「見方」で見ているのです。
これだけ作為や意思が入り込みますから、逆に言うと、自分なりの見方をどんどん訓練していけば、良い企画に巡り合うチャンスが増えるといえます。
たとえば「都会の道路を眺めた時に何が見えるか。
見えるだけ言ってみてください。」
このような質問を投げかけた時に、ある人は、クルマと答えました。
ある人は、トラックと答えました。
また電柱、道路標識、信号、看板、学生、ベビーカーなど、多数のものが道路上に見えていることがわかります。
では1歩進んで、クルマが好きな人に対して「もっと詳しく言ってみてください」と投げかけたところ、通っているクルマの車種をすべて答えられる人がいました。
あれはトヨタの○○、ホンダの○○の何年型、など細かく名前が出てくるのです。また、洋服が好きな人だと、歩いている人の来ている服のブランドがわかりますし、土木に詳しい人だとアスファルトのタイプやガードレールの種類がわかることもありました。
景色の中に存在するのは、形がある具体的なものだけなのに、見ている人の目には情報認識の違いが、ものすごくたくさんあります。
「目線」を変えると別のものが見えてくるのです。
アイデアの種
企画の元、アイデアのきっかけは「気づく」ことです。
そして「気づく」ためのコツが「目線」を変えることなのです。
アイデアをたくさん出すことができる人は、この「目線を変える」習慣が毎日の生活の中で身についているのです。